個人ゲーム開発者のYO FUJIIさんが開発しているゲーム「GOODBYE WORLD」、Twitterでは1万を超えるリツイートで話題に。
「GOODBYE WORLD」は、ゲームクリエイターの熱意からくる周りとの衝突や苦悩の物語を、追体験していくナラティブアドベンチャー。
プログラマーの蟹井(かにい)とグラフィッカーの熊手(くまで)は、専門学校時代に出会った。
卒業後、インディーゲームを作るため、就職をしない道を選んだ二人だったが、待っていたのは厳しい現実だった。
ゲームは売れず、バイトの勤務時間ばかりが増えていく…
もっと売れるゲームを作らなければと焦る蟹井に対し、熊手はある決断を下す。
体験版リリースとなった6月14日はsteamのNEXTフェス。パブリッシャーはFlyhigh Works。
早速プレイしてみたら、胸に刺ささりまくるので備忘録として。
目次
メインキャラクターは2人のゲームクリエイター、蟹井(かにい)と熊手(くまで)
エピソード序盤では2人の出会いとその関係が始まるところから。
妥協できないクリエイター気質で尖っている蟹井と真逆をいくような温和っぽい熊手。2人とも意見はガンガンいこうぜ的なマッチョ素質はこの辺から伺える・・・。
蟹井(かにい)
主人公の一人。
もう一人の主人公である熊手と共にインディーゲームを開発しており、主にプログラムとゲームデザインを担当している。人間関係が大の苦手で他人に対して配慮に欠ける物言いをしてしまいがち…
人見知りで一人でいることが多く、昔から愛用しているレトロゲーム機を肌身離さず持ち歩いている。
熊手と出会った当初は距離の詰め方に若干引き気味だったものの今では自分と一緒にゲームを作れるのは熊手しかいないと考えている。
ゲーム開発によって安定した収入が得られておらず、バイトを余儀なくされているが本人は全く乗り気ではない…
https://steamcommunity.com/games/1833490/announcements/detail/3204881590014260667
熊手(くまで)
主人公の一人。
もう一人の主人公である蟹井と共にインディーゲームを開発しており、主にグラフィックとシナリオを担当している。陽気で明るく人当たりが良いが、決して八方美人ではなく自分の意見をちゃんと言うことができるコミュ力おばけ。
距離を置いて他人と接する蟹井に対して持ち前のコミュ力で距離を詰め、今では保護者のように接している。
バイトが続かない蟹井とは裏腹に、長時間のシフトをこなしほぼ一人で二人分の生活費を賄っている。
将来に対して不安を抱えているが、蟹井のことを誰よりも気遣っており、どうすることが二人にとって最善なのかを常に考えている…
https://steamcommunity.com/games/1833490/announcements/detail/3204881590014260667
これは公式のメインキャラクター紹介。
一見すると熊手が女神にしか見えないんだけど、物語を進めていくうちに何か変わってくるのかな。
物語は、ゲームパートとドラマパートを交互に進行
ゲームパートはゲーム内ゲーム。蟹井が持ち歩いているレトロゲーム機で「BLOCKS」というゲームのステージクリアで物語が進行。
「BLOCKS」は横スクロール型の平面ゲームで、ジャンプができたり敵が出てくるものの、戦闘はない。壊したブロックを再配置して、ステージ上に隠された鍵を見つけ出してゴールすることが目的っぽい。
Goodbye Worldのゲーム内ゲーム「Blocks」が難しい場合はスキップできる
Goodbye Worldのゲーム内ゲーム「Blocks」の体験版はステージ3までプレイすることができるが、最後のステージはなかなか手ごたえのあるステージになっている。
クリアが難しい場合「決定キー」と「キャンセルキー」を同時に長押しすれば、スキップできる
ドラマパートでの物語の進行は胸に刺さる厳しいセリフが飛び交う
ドラマパートではモノローグと会話。メインキャラの個性でもあるのだけど、自分の意見をはっきり言う気質もあってか、クリエイターに対する「厳しめ」な言動もある。物語が進行していくうちに、棘のあるセリフを浴びせられる事もあり、それがなかなかにクる。
というのも、ゲーム開発者のYO FUJIIさんはリアル生活で2年間ゲーム会社で勤務し、1年以上ゲーム開発(本人曰く「ニート」)の生活を送っているらしい。(まるでMinecraftの作者Notchみたいだね!)
それ故なのか、時折刺さってくるセリフの数々は作者の実体験や苦悩なども反映されたリアリティが描かれているのかもしれない。
ノスタルジックを思わせるレトロドット絵のビジュアル
「GOODBYE WORLD」のドット絵のビジュアル面も素晴らしい。
全体的なビジュアルは、輪郭がなんとなくぼやっとしていて彩度も控えめ…まるでブラウン管を思い出させるようなレトロさとアナログ感のあるドット絵になっていて、物語もさながら、ビジュアルを称賛するコメントも多く見る。
ビジュアルに関しては「Eastward」のアートに影響を受けていると作者本人がコメントがあった。
体験版をプレイすればわかるよ
GOODBYE WORLD
目の前の現実、忘れてしまった思い、二人のクリエイターの物語。
紹介が長くなっちゃったけど。体験版をプレイすればこの胸に迫るグっとした感じ、わかると思うのでリンク貼っておく。正式リリースが楽しみで仕方ない。
「GOODBYE WORLD」が”Hello World!!”のメタファーだったら、とてもつらいな…。うぅ。
インディーズゲーム開発者が主人公のゲーム
メインキャラクターがゲームクリエイターのゲームというのは珍しいなーと思ってたのだけど、もうひとつ注目しておきたいゲーム「One Dreamer」がある。こちらもゲーム開発者が主人公のゲーム。
今回紹介した「Goodbye World」は日本に居住している日本人作者のもの。一方「One Dreamer」はオーストラリア発。どちらも体験版でプレイしてみたけれど、周りとの距離感や自身に向けられる辛辣さが異なるのも個人的には興味深かった。開発者が違うのでストーリーや見せ方は異なっているのは当然としても、生活している国という環境の違いもあるのかもしれない…そんなことを感じずにはいられなかった。